さて,前の記事から,『大衆の心』とは,具体的には,
「全人類四〇億人(現在は,60億人)の思想,感情,恐れ,迷信,熱意,偏見,狂信」
指し,「世界中の何十億もの人からの否定的な意見」であることが分かった。
私たちが,この『大衆の心』に影響されないようにするためにすべきことは,前の記事で少しだけ考慮したが,今,ジョセフ・マーフィー博士の本の中から,さらに,私たちに「何ができるのか」を学んでみることにしよう。
私たちは,マーフィー博士から「個人レッスン」を受けているような気持ちで,今,博士の言葉に真剣に耳を傾けてみよう。
『わたしたちの中に神が存在し,神の力がわたしたちのために働くことを知れば,平和な生活を送ることができます。「大衆の心」は,どんな人の心の中にもあります。だからこそ,わたしたちは常に祈らなければならないのです。幼いころに植え付けられた誤った信念や恐れを捨てるのです。聖書の言葉を借りれば,それらは「汚れた動物」です。
心を「神の真実」で満たせば,今すぐにでも潜在意識を変えることができます。「神の真実」は,神の性質を備えていないものを排除します。』
(『マーフィー あなたの夢はきっとかなう』きこ書房,2005年。197ページ。
原題は,“Within You Is the Power”)
私たちは,“常に”祈り(瞑想し),幼いころに親や先生などから植え付けられた誤った信念や恐れを“捨て”,自分の心を「神の真実」(「神の性質を備えているもの」「積極的な考え」)で“満たす”ことが必要である。そうすれば,『大衆の心』が持つ否定的な影響力から,自分の心を守ることができる。
ここで,“常に”「祈る」とあるが,これは,そういうことが「習慣」にでもなってない限り,一日に二回も三回も定期的に祈るというのは,実は簡単なことではない。
また,それが「幼いころに」身に付いたその人の「信念」(または「信仰」)であるのなら,それを今更(この歳になって),思い切って“捨てる”というのは,なかなか容易なことではないだろう。
また,「神の真実」(肯定的な考え)で心を“満たす”といっても,長い間身に付いた「思考パターン(型)」はなかなか変えられないもので,ついつい,否定的(消極的)なことを考えてしまったり,今抱えている問題や悩みに注意が集中し,それで「心がいっぱい」になってしまうかもしれない。この場合,違う意味で「潜在意識の法則」が働き,悪い結果をもたらしてしまうだろう。
このようなことを,聖書では,ひづめが分けられていない「汚れた動物」を食べることになぞらえている。
『聖書では,「ラクダやウサギやアナウサギは反すうするが,ひづめが分けられていないから食べてはならない」とされています。この象徴的な意味を理解するのは簡単です。
世界中のほとんどの人は,「大衆の心」と「永遠に変わることのない真実」とを正しく分けて考えていません。これが,「ひづめが分けられていない」という意味です。』
(『マーフィー あなたの夢はきっとかなう』きこ書房,2005年。200ページ。
原題は,“Within You Is the Power”)
私たちが,マーフィー博士の言うことを自分たちの生活に当てはめて,実際に活用するためには,私たちの側に少なからず,強い意志が求められる。
しかし,私たちが,「永遠に変わることのない真実」(建設的な思想)で心を“満たして”いなければ,世界中のほとんどの人たちと同じように,私たちの潜在意識は,『大衆の心』(「世界中の何十億もの人からの否定的な意見」)の影響を確実に受けてしまうだろう。
さて,ここで,さらに『大衆の心』に関してマーフィー博士が述べてる事柄に耳を傾けてみよう。マーフィー博士は,こう述べている。
『「五人の夫」というのは,五感のことです。大衆が生み出す誤った考えに振り回されるのはとても愚かなことです。マスコミの雑多な報道は病的で,神の家(あなたの心)にとってふさわしくありません。』
(『マーフィー あなたの夢はきっとかなう』 きこ書房,2005年。212ページ。
原題は,“Within You Is the Power”)
私たちは,「五感」(目や耳)を通じて,毎日,様々な「情報」を自分の心に取り入れている。
朝起きると,まずは新聞を端から端まで読み,テレビのニュースを見,仕事では上司や同僚やお客さんの意見を聞き,仕事が終わって家に帰れば,家族や子供たちの言葉を聞き,休日には,好きな本を読んだり,雑誌を読んだり,車で出かければ,ラジオを聞くかもしれない。また,最近では,こうしたインターネットも,そうだろう。
こうして私たちは,日々,自分の目や耳から「情報」を取り入れているわけだが,そうした情報の中には,「積極的で良いもの」もあるが,大抵は,「否定的」なものが多いのではないだろうか。
たとえば,マスコミは,常に,「事件」や「事故」,「犯罪」など(戦争,殺人,誘拐,テロ,火災,地震・台風・噴火などの自然災害,ガンや心臓病,インフルエンザなどの病気,交通事故,裁判,不正など)を報道している。
そうしたマスコミの,否定的な情報に重きを置いた報道は,「病的で,神の家(あなたの心)にとってふさわしくありません」とマーフィー博士は述べている。
私たちは,そうしたマスコミの報道を毎日見聞きすることによって,注意してないと,『大衆の心』(「世界中の何十億もの人からの否定的な意見」)の影響を受けてしまうようになるのである。
たとえば,こんなふうに。
『タバコが人に及ぼす悪影響は,吸う人の心構えによって異なります。医療関係者なら,タバコが原因で肺がんになった人が何千人といることを知っているでしょうが,タバコをいくら吸っても肺がんにならない人がいることも事実なのです。ですから,「タバコを吸えばがんになる」と決めつけるのは愚かなことです。がんになるかどうかは,本人次第です。
タバコのニコチンの影響について,「大衆の心」がわたしたちに影響を与えています。しかし,「大衆の心」を超越すれば,その影響から解放されるのです。』
(『マーフィー あなたの夢はきっとかなう』きこ書房,2005年。106ページ。
原題は,“Within You Is the Power”)
マーフィー博士は,「がんになるかどうかは,本人次第です」と述べている。
わたしたちが,“常に”自分の心に取り入れるものに注意し,「神の真実」で心を“満たす”ことにより,『大衆の心』の影響から解放される必要があることの重要性は,この博士の一言でも分かるのではないだろうか。
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